「クリーニングに出したら、風合いがゴワゴワになって返ってきた」「ボタンが破損し、広範囲に色移りが発生した」といったクリーニングトラブルは、業界内でも年間多数報告されています。もし業者の過失によってスーツがおシャカになった場合、どのような補償を受けられるのでしょうか。
日本国内のクリーニング業者は、厚生労働省認可の「全国クリーニング生活衛生同業組合連合会」が定めた「クリーニング事故賠償基準」に準拠して対応するのが一般的です。補償額は以下の計算式によって算出されます。
賠償金額 = 物品の再取得価格(同等品の現在購入価格) × 物品の購入時からの経過月数に応じた補償割合
ここで極めて重要なのが「減価償却」の概念です。スーツ(ウール製品)の平均耐用年数は同基準において概ね2年〜3年(24〜36ヶ月)と設定されています。そのため、仮に定価10万円の高級オーダースーツであっても、購入から3年以上経過している場合、算定上の残存価値割合は10〜20%前後にまで低下し、補償額は1万〜2万円程度にとどまるケースがほとんどです。
万が一事故に遭遇した際は、以下の3点を速やかに実行してください。
- クリーニングタグを外さずに状態を撮影する:タグを外してしまうと、その店舗で預かった品物であることの証明が法的に難しくなります。
- 受取日から原則14日以内に店舗へ申し出る:約款上、受取後長期間が経過すると事業者の免責事由に該当するリスクが高まります。
- 購入時のレシートやクレジットカード明細、保証書を提示する:購入時期と価格の客観的証拠がない場合、賠償額が大幅に減額査定される要因になります。