最新の意識調査データを紐解くと、世間一般の認識と商業的な現場との間には、無視できない断絶が横たわっている。20代から30代前半の若い男性層を対象にしたアンケートでは、およそ6割以上が「35歳以上」を熟女の入口と捉えていた。20代の目線から見れば、社会経験を積み、落ち着いた雰囲気をまとう30代半ばはすでに立派な「大人の年上女性」として映るわけだ。
ところが、当事者である30代や40代の男女に同じ質問を投げかけると、景色は一変する。過半数が「45歳、あるいは50歳(アラフィフ)を超えてからが本番」と回答するのだ。とりわけ女性側からは「30代はまだまだ若手の延長線上」「40代前半で熟女括りにされるのには違和感がある」といった強い抵抗感とリアルな本音が噴出している。実生活でのアンチエイジング意識やライフスタイルの変化が、自認年齢を大幅に押し上げている証左といえる。
一方で、商業メディアやエンターテインメントの現場はもっとドライだ。マーケティング上の明確なセグメンテーションを優先するため、概ね「30代半ば(35歳前後)」を明確な転換点として設定している。消費者が求めるファンタジーとしての成熟度と、生活者本人の身体感覚との間には、およそ10年から15年もの激しいタイムラグが存在しているのが現実だ。