竹久夢二の生涯と名作『黒船屋』の真相|愛憎劇が生んだ大正ロマン

竹久夢二の生涯と名作『黒船屋』の真相|愛憎劇が生んだ大正ロマン

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竹久夢二の芸術を語る上で避けて通れないのが、彼の創作の源泉であり、同時に深い葛藤の引き金となった女性関係の真相です。夢二の人生には決定的な役割を果たした3人のミューズが存在しました。

最初の女性は、唯一の戸籍上の妻となった岸他万喜(たまき)です。未亡人だった他万喜の妖艶な美しさに夢中になった夢二は出会って数か月で結婚しますが、夢二の嫉妬深さと他万喜の奔放さが衝突し、わずか2年で協議離婚。しかし離婚後も同居と別居を繰り返し、刃傷沙汰にまで発展するなど泥沼の愛憎関係が続きました。他万喜の肉感的な肉体と強い眼差しは、初期の夢二式美人の骨格を形成します。

次に現れたのが、夢二が生涯で最も深く愛したとされる笠井彦乃(ひこの)です。日本橋の紙問屋の令嬢であり、女子美術学校の生徒だった彦乃は、夢二の熱烈なファンでした。20歳以上も離れた2人は激しい恋に落ち、周囲の猛反対を押し切って京都で同棲生活を送ります。夢二にとって彦乃は清純な「永遠の恋人」であり、創作活動が最も充実した黄金期を支えましたが、結核を患った彦乃はわずか25歳で夭折。この喪失体験が夢二の心に癒えない傷を残しました。

失意の夢二の前に現れたのが、彦乃の面影を宿したモデル・お葉(本名・佐々木カネ子)でした。お葉のしなやかな肢体と哀感に満ちた表情は、円熟期を迎えた夢二に新たなインスピレーションを与えます。名作のモデルを務め同棲生活を送ったものの、夢二の心の奥底に残る彦乃の影に苦しみ、やがてお葉も夢二の元を去っていきました。3人の女性との出会いと別れこそが、夢二の絵に唯一無二のリアリティと情念を吹き込んだのです。

山田 真由
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山田 真由

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