『こち亀』の本領発揮と言えば、やはり計算し尽くされたカオスなギャグ回だ。両津勘吉が欲望のままにビジネスを展開し、最初は奇跡的な大成功を収めるものの、強欲さゆえに暴走。最終的にすべてが灰燼に帰す黄金のパターンは、何度見ても腹筋を破壊するパワーに満ちている。
高級珍味の栽培や超マニアックな模型の爆発的販売、怪しい投資ビジネスからデジタル技術の悪用まで、両津の着眼点は常に時代の一歩先を行く。だが、成功のピークを迎えた直後、大原部長の逆鱗に触れたり機械の暴走によって事態は一変。派出所ごと爆破されたり、武装した部長に追われ地球の裏側まで逃亡するラストシーンは、警察コメディという枠組みを完全に突破した圧巻のエンターテインメントだ。
特にマニアの間で「神回」と語り継がれるのは、特殊なコレクターグッズを巡る欲望むき出しの心理戦や、大原部長を騙そうとして仕掛けた罠が自分に跳ね返ってくる自滅劇。登場人物たちの顔芸と凄まじいスピード感で畳みかけるコマ割りは、ギャグ漫画というジャンルにおいて最高峰の完成度を誇っている。