当時の報道合戦を振り返ると、メディアの過熱ぶりは凄まじいものがあった。『週刊文春』をはじめとする週刊誌がプライベートの内情を次々と報じ、TBSテレビの看板情報番組『サンデー・ジャポン』などでも連日のように芸能ニュースのトップ項目として取り上げられた。テレビカメラが医院の周辺に詰めかける異例の事態は、静穏であるべき医療空間に小さくない衝撃を与えた。
だが、メディアが作り出すドラマ仕立てのストーリーと、実際の臨床現場で求められるものは根本的に異なる。見出しの刺激性だけで消費されるゴシップ報道の嵐が過ぎ去ったあと、現場に残されたのは「医療機関としての信頼をいかに守り抜くか」という極めて現実的な課題であった。