だが、ファッションとしての隆盛の裏には、目を背けられないメンタルヘルスの課題が横たわっている。歌舞伎町などの街頭で見られる若者たちの路上停滞問題や、SNS上での過激な自傷行為の示威、処方薬の不適正使用といった社会問題は、形を変えながら現在も根深く存在している。
専門家は「視覚的なスタイルだけで本質的な生きづらさが解決するわけではない」と警鐘を鳴らす。装いやメイクによって一時的に「鎧」を纏い、同じ痛みを共有する仲間を見つけたとしても、根本的な社会からの孤立や家庭環境の悩みが消えるわけではない。ファッションによる自己救済が、時として実生活での問題解決を遅らせる麻酔として作用してしまう危険性も否定できないのだ。