文章や絵本という紙媒体にとどまらず、本作は舞台の上でも熱い生命力を注ぎ込まれてきた。特に劇団仲間をはじめとする歴史ある劇団や、全国の人形劇団によって長年にわたり上演が重ねられてきた実績がある。人形劇・舞台芸術という身体性を伴う表現媒体を通して、鬼の哀哀たる歌声や少女ゆきとの心の交流が立体的に表現されてきたのだ。
生の舞台で繰り広げられる鬼の葛藤や悲痛な叫びは、観客の心にダイレクトに響く。暗闇の劇場で子どもたちが息をのんで見守る光景は、いつの時代も変わらない舞台芸術の醍醐味であり、名作が語り継がれる原動力となっている。