「歩くだけで痛いから、風呂上がりに柔らかくなったところをカッターや爪切りで抉り取った」——インターネット上の知恵袋やSNSには、こうした危険極まりない体験談が数多く投稿されています。しかし、足病治療を行う医療現場では、こうした自己処置の失敗によって重篤な状態に陥った患者が引きも切りません。
都内の足病外来に勤務する専門医は、診察室での現実をこう打ち明けます。「自分で刃物を入れて真皮近くまで傷つけ、化膿して足全体が腫れ上がった状態で来院される方が後を絶ちません。魚の目の芯は真皮層の深部に達しているため、清潔が担保されていない家庭環境で肉眼で見ながら完全に切除することは不可能です」。
魚の目を自分で切るリスクと危険な理由は、単なる出血にとどまりません。傷口から黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入すると、皮下脂肪組織にまで急激に炎症が広がる「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」を引き起こす危険性があります。足背から下腿部にかけて赤く腫れ上がり、高熱を伴って歩行困難に陥れば、数週間の抗生剤点滴や入院加療を余儀なくされる事態すらあり得ます。
さらに、角質を無理に削り取ると、皮膚の防御機構が過剰に働き、反動として以前よりもさらに強固で分厚い角質を作り出してしまいます。「自分で切っては分厚くなり、痛みが悪化する」という負のスパイラルから抜け出すためには、メスやハサミを患部に当てる行為を今すぐ断ち切らねばなりません。