重曹(弱アルカリ性)にクエン酸(酸性)をかけると、勢いよく二酸化炭素の泡が発生する。理科の実験のようなこの挙動を見ると、いかにも強力な洗浄力が生まれているように錯覚してしまう。しかし、化学的な実態はまったく逆だ。
酸性の物質はアルカリ性の汚れ(水垢や石鹸カス)を溶かし、アルカリ性の物質は酸性の汚れ(皮脂や油汚れ)を分解する。この両者を混ぜ合わせると、水素イオンと水酸化物イオンが反応して水と塩(えん)に変化する。つまり、汚れを落とすために必要な酸とアルカリの化学的な攻撃力が互いに相殺され、ただの無害な水と二酸化炭素に化けてしまうのだ。