新宿御苑の最大の魅力は、その特異な歴史的背景にあります。この地は江戸時代、信州高遠藩主・内藤家の下屋敷でした。明治維新後、近代農業振興を目的とした「内藤新宿試験場」を経て、明治39年(1906年)に日本初の皇室庭園として誕生しました。戦後、昭和24年(1949年)に「国民公園」として一般開放され、今日に至ります。
園内を歩くと、3つの全く異なる庭園様式が見事に調和していることに気付きます。
- イギリス風景式庭園:広大な芝生と、樹齢100年を超えるユリノキの巨木が象徴的なエリア。開放感あふれるスカイラインと高層ビルのコントラストは圧巻です。
- フランス式整形庭園:約110種・約500株のバラが咲き誇るバラ花壇を中心に、プラタナスの並木が幾何学的に配置された左右対称のエレガントな空間です。
- 日本庭園:池の周囲を歩きながら景色を楽しむ池泉回遊式庭園。昭和天皇の御成婚記念として建てられた中国風建築「旧御涼亭(台湾閣・東京都選定歴史的建造物)」が水面に映え、静寂の美を醸し出します。
これら3つの異なる文化がひとつの敷地内で共存している風景は、世界的に見ても極めて稀有なランドスケープデザインと評されています。