緑色の球体に大きな目玉、細い手足というアイコニックな姿で知られるマイクですが、彼の正式な本名はマイケル・“マイク”・ワゾウスキ(Michael "Mike" Wazowski)です。ポーランド系の響きを持つこのファミリーネームは、ピクサーのアニメーターであるボブ・ピーターソンの友人宅の近所に住んでいた人物の名前に由来していると、制作裏話の中で語られています。
マイクの経歴は、決して平坦なエリートコースではありませんでした。幼少期にモンスターズ・インクの見学ツアーで訪れた「怖がらせ屋」の雄姿に心を奪われ、名門モンスターズ・ユニバーシティ(MU)の怖がらせ学部へ進学。しかし、後述する決定的な挫折を経て一度は大学を追われ、モンスターズ・インクの郵便仕分け室から泥臭くキャリアを再スタートさせました。卓越した頭脳と徹底したデータ管理能力を武器に、相棒サリーを歴代トップの「怖がらせ屋」へ育て上げ、物語の結末では「恐怖」に代わる「笑い」のエネルギーを発見。最終的に会社の共同経営者、兼トップパフォーマーへと上り詰めた叩き上げのビジネスマンでもあります。
そして、日本のファンにとってマイクの存在感を決定づけたのが、お笑いコンビ・爆笑問題の田中裕二による日本語吹き替えです。タレント吹き替えに対して厳しい評価が下されがちな映画界において、田中の演じるマイクは「もはや本人そのもの」と公開当時から絶賛を集めました。
このキャスティングの裏には、ピクサーの並々ならぬこだわりが存在します。原語版でマイクを演じた名優ビリー・クリスタルのマシンガントークと甲高いトーン、神経質ながらも人懐っこい波形データを徹底検証した本国スタジオは、日本側の候補者オーディションにおいて田中のサンプル音声を聴いた瞬間、「この声こそが日本のマイクだ」と即決したと当時の配給関係者は証言しています。田中特有のテンポ感とツッコミの切れ味は、単なる吹き替えの枠を超え、キャラクターに独自の血肉を通わせる決定打となりました。