四国には、古くから旅人を受け入れてきた土壌がある。平安の昔、弘法大師(空海)が開いた四国八十八ヶ所霊場。千年以上もの間、人々は救いや自己を見つめ直すためにこの島を巡ってきた。巡礼者を温かくもてなす「お接待」の精神は、現在も島全域に深く根づいている。
かつてNHK BSプレミアム『にっぽん縦断 こころ旅』が映し出したような、人々の温もりと郷愁を誘う風景のなかを現代のサイクリストが駆け抜ける。「四国一周1000kmルートプロジェクト」が立ち上げられて以降、霊場を歩くお遍路とスポーツサイクリングが交錯し、この島ならではの独特な旅の様式が誕生した。アスファルトに引かれた青いガイドラインを辿る行為そのものが、現代版の巡礼体験へと昇華されているのだ。