湿球温度とは?生存限界「35度の壁」とWbgt熱中症リスクの真実

湿球温度とは?生存限界「35度の壁」とWbgt熱中症リスクの真実

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近年の気候リスク報道で最も衝撃を与えているのが、医学・生理学研究で実証された「湿球温度35度の生存限界」という事実です。

人間の体内深部温度は約37度に保たれています。外気温が体温を上回る過酷な環境でも私たちが生きていられるのは、皮膚から汗を分泌し、その汗が空気中に蒸発する際の「気化熱」で体を能動的に冷却しているからです。しかし、湿球温度が35度に達した環境では、物理的に汗が一切蒸発できなくなります。

体温(約37度)と外気の湿球温度(35度)の差が2度以下になると、代謝熱を外部へ逃がす経路が完全に断たれます。その結果、どれほど頑丈なアスリートであっても、直射日光のない日陰で風通しを良くして安静にしていたとしても、体温が急上昇して6時間程度で多臓器不全から死に至るとされています。

さらに近年の臨床実験では、高齢者や基礎疾患を持つ人々、あるいは屋外で肉体労働を行う労働者の場合、35度を待たずとも湿球温度30度〜31度前後で生命維持の限界点に到達することが判明しています。気温が40度であっても湿度が20%と低ければ湿球温度は約22度にとどまり、汗をかけば耐えられます。一方で、気温が33度であっても湿度が90%を超えると湿球温度は31度を超え、極めて致命的な環境と化します。「気温の数字だけを見て油断してはならない」と言われる最大の理由はここにあります。

池田 達也
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池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。