日本全国で愛されるカツオですが、高知における高知カツオの旬は一度きりではありません。太平洋を回遊するカツオの生態に合わせて、春と秋の年2回、まったく表情の異なる旬が訪れます。
1回目のピークとなる初鰹の時期は3月下旬から5月頃です。南の海から黒潮に乗って太平洋側を北上してくるカツオは、運動量が豊富で余分な脂肪が落ち、みずみずしく引き締まった赤身が特徴です。高知では古くから「初鰹を食べると寿命が延びる」と珍重され、江戸時代の町人が借金をしてでも買い求めたという逸話が残るほど、初夏の訪れを告げる縁起物として親しまれています。
対して2回目のピークとなる戻り鰹の時期は9月下旬から11月頃です。三陸沖や北海道沖の餌が豊富な海域でたっぷりとオキアミや小魚を食べ、水温の低下とともに南下してきたカツオは、全身に霜降り状の脂を蓄えています。脂の乗った身は白みを帯び、まるで本マグロの中トロを彷彿とさせる濃厚な旨味が口いっぱいに広がります。
このように、高知カツオの美味しい季節は「さっぱりとした赤身の春」か「こってり濃厚な秋」かで好みが真っ二つに分かれます。どちらの時期を選ぶかによって、旅の食体験が大きく変わる点こそが高知カツオの奥深い魅力です。