川藤の熱量に感化され、バラバラだった不良たちが一人、また一人と白球を握り直す過程には、胸を締め付ける名言が溢れている。
「バカにされてもいいじゃねえか。俺たちは、甲子園に行くんだ!」
エースとしてチームを牽引する安仁屋が、過去のトラウマを乗り越えて甲子園への渇望をむき出しにした瞬間の台詞だ。クールを装い、斜に構えていた男が、プライドをかなぐり捨てて泥にまみれる。その覚悟は、チームメイト全員のハートに火をつけた。
また、誰よりも気弱で、誰よりも仲間思いなキャプテン・御子柴が流した涙の数々も見逃せない。「みんなともう一度、野球がやりたい」という彼の震える告白は、暴力と停滞に逃げていた不良たちをグラウンドへ引き戻す決定打となった。高校野球という舞台で、嘲笑されながらも這い上がっていく彼らの姿は、不完全な人間だからこそ放てる圧倒的な輝きを放っている。