「お客様ファースト」は時代遅れか?カスハラ激化と現場崩壊の真相に迫る

「お客様ファースト」は時代遅れか?カスハラ激化と現場崩壊の真相に迫る

「お客様ファースト」は時代遅れか?カスハラ激化と現場崩壊の真相に迫るとは一体何なのか? 詳しい意味を簡潔に解説します。

企業が盲目的に顧客至上主義を掲げ続けることで生じるお客様ファーストの弊害は、単なる従業員の不満にとどまらず、企業の存続基盤そのものを揺るがす深刻な実害をもたらしています。とりわけ致命的なのが、以下の3つの連鎖的崩壊です。

第一に挙げられるのが、現場スタッフの離職ドミノと採用費の高騰です。社会学者アーリー・ホックシールドが提唱した「感情労働(自らの感情を抑制・管理することを求められる労働)」の負荷が過剰となり、適応障害やうつ病を発症して戦線を離脱する若手社員が後を絶ちません。新卒採用市場においても「カスハラ対策を明文化していない企業は就職先から除外する」という防衛意識が学生の間で急速に浸透しており、現場を保護しない組織は採用市場から容赦なく淘汰されつつあります。

第二の弊害は、クレーマーの暴走を助長する「悪質顧客の育成」です。現場の管理職がその場の波風を立てないために理不尽な要求を受け入れ、過剰な値引きや金券配布で幕引きを図ると、悪質クレーマーは「怒鳴れば得をする」と学習します。結果として店舗環境が悪化し、本来大切にすべき良質な一般顧客が「あの店は空気が悪くて居心地が悪い」と離れていく悪循環が生じるわけです。

第三に、オペレーションの硬直化と生産性の低下が組織を蝕みます。一度でも理不尽なクレームを受けた現場は「客を怒らせないための過剰なマニュアル」を何層にも重ねるようになり、スタッフ一人あたりの業務効率が著しく低下。デジタル化や業務効率化の足枷となり、結果として企業全体の収益性を圧迫する本末転倒な事態に陥っています。

中川 明日香
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中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。