削っても洗っても落ちないプラスチックの化学的黄変を、新品のような元の白さへとリフレッシュさせる唯一の手法が、海外のレストア愛好家によって開発された「レトロブライト(Retr0bright)」と呼ばれる化学的脱色法である。
レトロブライトの核となるのは、過酸化水素水と紫外線の相互作用だ。市販の衣類用液体酸素系漂白剤(花王の「ワイドハイターEXパワー」など)には、主成分として過酸化水素と漂白活性化剤が含まれている。黄変したプラスチックをこの液体に浸し、紫外線を照射すると、強力な酸化力を持つ活性酸素(ヒドロキシラジカル)が発生する。
この活性酸素が、黄色く変質して結合していた臭素化合物などの発色団を攻撃し、結合を分断して元の透明・無色な構造へと還元させる。つまり、素材を削り取るのではなく、化学反応によって黄ばみの原因物質そのものを無色化するため、プラスチックの表面を傷つけることなく安全に白さを取り戻すことができるのだ。