たかが10円、されど10円。オークションサイトや古銭市場を覗くと、1枚の10円玉に数十万円の値がつく光景に出くわすことがある。
すべての10円玉が均等に作られているわけではない。製造枚数が極端に少なかった年、あるいは製造過程での偶発的なミス。それらが組み合わさった時、金属の塊は一気に希少な骨董品へと変貌を遂げる。特に昭和30年代前半や平成初期の一部年式は、古銭商の間でも常に探されている逸品だ。
「財布の中身を確かめるのが癖になっている」と語るある収集家は、状態の良い特年(発行枚数が少ない年)を見つけた瞬間の高揚感を熱く語る。現金の流通量が減ったからこそ、手元に巡ってくる1枚の価値を意識する人が増えているのだ。