駅を後にし、レトロな雰囲気が残る市街地へと足を進めると、ふとした曲がり角でデジャヴのような感覚に襲われる。それこそが、兵庫県西脇市が世界に誇る西脇市Y字路アートプロジェクトの舞台だ。横尾忠則が自身の原風景として描き続けてきた「Y字路」の構図が、この街には実在する。
三差路の鋭角に立つ古い木造建築、妖しく交錯する路地、昼と夜で全く異なる表情を見せる陰影。案内マップを手に散策ルートを歩けば、まるで画家自身の頭の中を旅しているかのような錯覚を覚える。路地裏の喫茶店で地元の人々と会話を交わしつつ、絵画のモデルとなった場所を自らの足で見つけ出す体験は、宝探しに似た高揚感をもたらす。