1970年代中盤から後半、沢田研二の表現は決定的な飛躍を遂げる。デヴィッド・ボウイらに共鳴したグラムロックの美学をいち早く吸収し、歌謡曲のステージに持ち込んだのだ。アイシャドウを引き、ラメを散りばめ、ジェンダーの境界を軽やかに踏み越える。男らしさ/女らしさという旧来の固定観念に縛られていた日本の音楽業界に、そのビジュアルは強烈なカウンターパンチとなった。
その頂点が1977年の日本レコード大賞を受賞した『勝手にしやがれ』だ。スリーピースのスーツに身を包み、斜めに被ったボルサリーノ帽を客席へと投げ捨てるパフォーマンス。歌と視覚表現が完璧に融合した瞬間だった。パラシュートを背負って歌った『TOKIO』や、包帯を巻いた退廃的な衣装など、奇抜さとエレガンスを同居させた演出は、現代のミュージックビデオやステージ演出の礎を築いたといっても過言ではない。