「飾るための美ではなく、使ってこそ活きる美」。これが馬場勝文の創作を突き動かす根幹です。
どれほど美しいフォルムであっても、お湯を注ぐ際に液ダレしたり、持ち手が重すぎたりしては道具として成り立ちません。馬場の急須は、注ぎ口の角度や内部の茶こし部分まで精巧に作り込まれており、最後の一滴まで気持ちよく注ぎ切ることができます。
また、使用される釉薬(ゆうやく)はすべて自身の工房で研究を重ねた自家製です。
- マットホワイト: 卵の殻のようにしっとりとした質感で、料理の色彩を優しく引き立てる。
- マットブラック: 漆黒でありながら温かみがあり、光の加減で表情を変える深みを持つ。
- グレー・素地仕上げ: 土そのものの粒子を感じさせ、素朴でありながら現代的な空間に馴染む。
手作りのため、表面のピンホール(小さな穴)や釉薬の濃淡、貫入(かんにゅう)の入り方はひとつとして同じものがありません。工業製品にはない「個体差」こそが、愛着を生む要素となっています。