多くのファンが抱く最大の疑問が、「作者の実家もアニメと同じ平屋だったのか」という点です。結論から言えば、実際の実家は平屋の住宅ではなく、八百屋を営む2階建ての店舗兼住宅でした。
さくらももこ氏が著書『たいのおかしら』や初期のエッセイ集で明かしている通り、生家は静岡市清水区(旧・清水市)入江で青果店を営んでいました。表通りに面した店先には野菜や果物が並び、奥や2階が居住スペースとなっていました。ヒロシのモデルとなった父親も、アニメのように定職を持たずにふらふらしているわけではなく、毎朝市場へ仕入れに向かう働き者の八百屋店主でした。
アニメ化に際して住まいを「典型的な昭和中期の平屋一軒家」へと変更した背景には、演出上の明確な意図がありました。自伝的な特殊要素(店舗経営)をあえて削ぎ落とし、当時の一般家庭の平均像に近づけることで、全国の視聴者が「自分たちの幼少期」を投影しやすい普遍性を生み出したと分析されています。
現在、当時の雰囲気をそのまま体験できる唯一の公認施設が、静岡市清水区のエスパルスドリームプラザ内にある「ちびまる子ちゃんランド」です。館内にはさくら家の間取りが実物大で再現されており、ちゃぶ台のある居間や姉妹の部屋、台所の細部に至るまで昭和40年代の生活備品が忠実に復元されています。