1990年代半ばから2000年代初頭のPCゲームシーンにおいて、エルフが放った「作シリーズ(伊集院三兄弟シリーズ)」はエポックメイキングな存在でした。閉鎖空間での脱出劇を描いた『遺作』、学園寮を舞台にした盗撮・脅迫劇『臭作』に続き、シリーズの完結編として登場したのが『鬼作』です。
本作の主人公である伊集院鬼作は、前二作の主人公(伊集院遺作・伊集院臭作)の実弟にあたる三男。巨大企業「伏見グループ」のビルの用務員という目立たない立場に身を置きながら、ビルのセキュリティシステムや裏の人脈を掌握し、標的とした女性社員や関係者たちを容赦なく手中に収めていきます。
従来の美少女作品における主人公像を真っ向から覆す、醜怪で悪辣な中年男性が主役を務めるダークピカレスク構造は、アニメ版でも遺憾なく発揮されました。ピンクパイナップルやミルキーなどのトップレーベルが手がけたOVAシリーズは、緻密なプロットと緊張感あふれる演出により、アダルトアニメの枠を超えたハードサスペンスとして語り継がれることになります。