現代のインターネット上やSNSの言論では、「なぜ南田洋子はこれほどの浮気や暴露をされながら即座に離婚しなかったのか?」という疑問が頻繁に語られます。中には「仮面夫婦だったのではないか」「ビジネスのための偽装結婚だったのでは」という短絡的な憶測も見受けられますが、これは当時の社会的背景と二人の特異な絆を見落とした誤解です。
第一に、昭和の銀幕スター同士の婚姻関係には、現代とは大きく異なる「共同体」としての意識が存在していました。1956年の映画『太陽の季節』での共演を機に結ばれた二人は、単なる男女の関係を超え、過酷な映画界を共に生き抜く戦友でもありました。
第二に、南田洋子自身が持っていた並外れた包容力と「耐え忍ぶ妻」としての美学です。南田は長門の破天荒な性格や浮気癖、金銭トラブルをすべて把握した上で、「この人は私が面倒を見なければ生きていけない」という強固な自負を抱いていました。浮気相手の実名暴露という屈辱的なスキャンダルに直面しても、南田は表立って夫を糾弾することなく、むしろ世間からの猛バッシングに晒される夫の盾となり、家庭を守り抜く道を選んだのです。