平和な日常が音を立てて崩れ去る恐怖。それが本作の幕開けだ。徹夜の仕事から恋人・てっこのアパートへ帰宅した英雄を待っていたのは、異形に変貌した彼女の姿だった。咬傷を負いながら襲いかかってくるてっこを、英雄は必死の思いで返り討ちにする。この瞬間から、日本全国を呑み込む破滅のパンデミックが牙をむく。
感染者たちは「ZQN」と呼ばれ、従来のゾンビ像とは一線を描く独特の気味悪さを放つ。生前に固執していた職業や口癖をエンドレスで反復しながら人肉を貪るその姿は、不気味極まりない。タクシーでの惨劇、高速道路での暴走、空港のパニック。日常の景観が血の海へと変貌していくプロセスの圧倒的なスピード感に、息をのむ暇もない。