細木数子に向けられた疑惑のなかで、最も悪質なものとして追及されたのが「高額墓石の販売ビジネス」である。先祖供養の不足がすべての災厄の元凶であると説き、特定の墓石会社を紹介して法外な価格で契約を結ばせていた。
市場価格の数倍から十倍以上、時には数千万円に及ぶ墓石や仏壇を購入させられた被害者たちが声を上げ始めたことで、事態は単なる占い論争を超えて社会問題へと発展した。これこそが、霊感商法そのものではないかという批判の嵐である。
この闇に決定的なメスを入れたのが、ノンフィクション作家の溝口敦だ。講談社が発行する『週刊現代』誌上において、細木数子の過去の黒い人脈、恐喝まがいの鑑定手口、そして墓石販売による莫大なキックバック構造を徹底的に暴く調査報道を連載した。彼女は名誉毀損で講談社側を提訴したものの、裁判が進むにつれて法廷には次々と生々しい証言が提出され、清廉な「人生の指南役」という虚構のメッキは完全に剥ぎ取られたのである。