なぜ「バターを塗る」ことが「ゴマをすり、機嫌をとる」という意味になったのか。諸説ある中で最も広く知られているのが、古代インドの宗教的儀式に由来する説だ。当時、信者たちは祈りが聞き届けられることを願い、神像の顔や身体に精製バター(ギー)を投げつけたり塗りたくったりしていたという。自らの願いを叶えてもらうために神を「バターで満たす」行為が、時を経て人間同士の誇大なお世辞を指すようになったとされる。
また、固いパンにバターを塗ることで生地が柔らかく滑らかになるように、頑固な相手の態度を褒め言葉で解きほぐすという日常的な観察から生まれたという説も根強い。いずれにせよ、言葉の根底にあるのは「相手を柔らかくし、こちらの望む方向へ動かす」という明確な意図だ。