この概念の源流をたどると、クラター・コンサルタントのやましたひでこ氏が著書『新・片づけ術 断捨離』で世に問うた哲学に行き着く。ヨガの行法哲学である「断行(だんぎょう)」「捨行(しゃぎょう)」「離行(りぎょう)」を応用したこのメソッドは、不要なモノを断ち、不要なモノを捨て、モノへの執着から離れるという自己探求のプロセスだ。一般財団法人断捨離を通じて今なお発信され続けているメッセージの核心は、「主役はモノではなく、あくまで現在の自分自身である」という一点に尽きる。
多くの片づけ本が「いかに効率よく収納するか」という技術論に終始していた時代に、この思想はライフスタイル・自己啓発の領域に鮮烈なパラダイムシフトを起こした。モノの要・不要を問い直す作業は、自分が今何を大切にし、何を恐れているのかを浮き彫りにする内省の儀式となる。部屋の乱れは心の乱れの鏡写しであり、モノを減らすことは自己の輪郭を再発見することなのだ。