『北の国から』の撮影現場は、妥協を許さないことで知られています。吹雪の中での長時間の待機や、零下数十度にも達する富良野の過酷な寒冷地ロケは、歴戦の俳優陣にとっても極限の試練でした。
ガッツ石松さんは、ボクシング現役時代に培った強靭な肉体と精神力でこの撮影に臨みました。息が白く凍りつくような極寒の現場でも弱音を一切吐かず、スタッフや共演者への気配りを絶やさなかった姿勢は、今も現場スタッフの間で語り継がれています。
特に視聴者の胸を打った名シーンでは、過剰な身振り手振りを排し、ただ黙って厳しい北の風を見つめる横顔に、言葉以上の説得力が宿っていました。富良野の雄大な山並みと吹き荒れる雪の中で、ひとりの労働者として立ち尽くす姿は、まさに倉本聰監督・演出陣が求めた「北の大地と一体化した本物の人間の姿」でした。