話は1980年代半ば、沖縄本島中部に位置する金武町にさかのぼる。キャンプ・ハンセンのゲート前に広がる歓楽街で、創業者・儀保松三氏が考案したのがタコライスの始まりだった。当時、円高の影響で懐が厳しくなっていた若き米兵たちに「安くて腹いっぱいになるものを食べさせてやりたい」というシンプルな情熱が、すべての原点だ。
メキシコ由来のタコスのアミーゴな味わいを、沖縄の主食である白米の上に大胆に移植する。この一見すれば豪快極まりないアイデアは、基地の街という異文化交流の最前線だからこそ生まれた必然だった。米と肉、チーズと野菜が重なり合う一皿は、瞬く間に米兵だけでなく地元の若者たちの心を打ち抜いた。