当時の衝撃を覚えている読者も多いはずだ。ブレイクの足がかりとなった『仮面ライダーフォーゼ』のヒロイン役で見せた天真爛漫な演技。そして実力派としての評価を決定づけた映画『東京喰種 トーキョーグール』のヒロイン抜擢。女優として階段を駆け上がっていたまさにその最中、突如として発表された「出家」の一報は、テレビの芸能ニュースを連日ジャックした。
渦中にあったのは、所属事務所だったレプロエンタテインメントとの労働環境や価値観をめぐる深い溝である。連日の過密日程と、自身の信条との間で擦り減っていく精神状態。彼女が選んだのは、従来の芸能生活をすべてリセットし、法名「千眼美子」として生きる道だった。事態は当事者間の議論を超え、当時の日本におけるタレント契約のあり方や映画業界の労働環境問題にまで波及する社会現象となった。