鬼としての冷酷な面の裏に秘められた真実——それこそが、人間時代「狛治(はくじ)」としてのあまりにも哀しい生い立ちだ。病弱な父親を救うために罪を重ね、全てを失いかけた男が巡り会った道場主の素流師範・慶蔵、そしてその娘である恋雪(こゆき)。
大切な人を守るための拳を手に入れ、恋雪との祝言を控えて誓った未来。しかし、卑劣な毒殺によってそのささやかな幸せは瞬時に奪い去られる。愛する者を二度も守れなかった絶望と憎悪が、彼を鬼の道へと堕ち落とさせた。技の名称や足元の雪の陣が、すべて恋雪との思い出や髪飾りを模していたという事実が明かされた瞬間、全ファンが涙した。彼の強さは、愛する人を守りたかった切ない記憶の残骸だったのだ。