日本における外食のあり方を根本から変えたパイオニア。その歴史を紐解く上で欠かせない存在が、株式会社三笠会館である。
1925年(大正14年)、創業者である谷戸又智が数寄屋橋のたもとに開いた小さな水菓子屋「三笠」がすべての始まりだった。かき氷や清涼飲料水を提供するささやかな店舗は、やがて本格的な洋食を提供するようになり、昭和初期には日本初となる「多階層型レストランビル」という斬新なスタイルを確立する。
1つの建物の中に、洋食、和食、フランス料理、中国料理、バーといった多様なジャンルの店舗を同居させる試みは、当時の日本の外食・飲食業界において画期的な挑戦であった。単一の料理に特化するのではなく、客の幅広い要望に応える多機能な食の殿堂。この先進的な発想こそが、日本の外食文化の礎となったのだ。