世界的な視点に目を向けても、日本の長寿記録は極めて突出している。かつて人類史上最高の長寿記録である122歳まで生きたフランスのジャンヌ・カルマン(Jeanne Calment)氏の記録は今なお破られていないが、日本国内に目を向ければ、119歳まで力強く生き抜き世界最高齢としてギネス世界記録に認定された田中カ子(かね)氏をはじめ、数々の偉大な超長寿者が歴史に刻まれてきた。
世界保健機関(WHO)が毎年公表する世界保健統計においても、日本の女性は常にトップ争いの常連であり、世界中の医療研究機関から「長寿の国」としての秘密が研究されている。遺伝的な要素だけでなく、バランスの取れた和食文化、手厚い国民皆保険制度、社会参加の機会など、多角的な要因が相乗効果を生み出していると見られている。だが、長寿国としての栄誉の陰で、新たな構造的課題が急速に顕在化しつつある。