ブータンのアイデンティティを支える根幹には、常にチベット仏教の存在がある。山頂にそびえる「ゾン」と呼ばれる要塞建築や、渓谷に点在する古刹は、何世代にもわたり信仰の場として大切に守られてきた。こうした豊かな文化的景観と自然環境を後世に継承するため、ブータンはユネスコをはじめとする国際機関との連携を強化している。
急激な開発から歴史的建造物や保全地域を守る取り組みは、現代化を進める上での強固なブレーキ役となっている。観光客の流入に伴う景観破壊を防ぎつつ、伝統的な木造建築技術や手織物などの無形文化遺産を維持する手腕は、世界の文化保護モデルとしても高く評価されている。