日本の深夜ラジオ文化の黎明期を語る上で欠かせないのが、TBSラジオが1967年にスタートさせた『パックインミュージック』だ。それまでのラジオ放送といえば、昼間の延長線上にある行儀の良いニュースや音楽番組が主流だった。しかし、この番組は既存の放送倫理の枠組みを根底から揺さぶった。
愛川欽也や野沢那智といった個性的あふれるパーソナリティたちが、リスナーから届いたハガキを丁寧に読み上げ、時には涙し、時には熱く持論をぶつけ合った。スピーカーから流れる声は、まるで自分だけに語りかけられているかのような強烈な密室感をもたらした。若者たちが夜の静けさの中で孤独を分け合う「心の居場所」が、ここに誕生したのである。