ビジネスシーンにおけるバックパックの定着は、収納の概念そのものを根本から覆した。従来のブリーフケースが「横の広がり」で荷物を並べていたのに対し、リュックは容積の大半が「垂直方向の深さ」に存在する。ここに対策を打たなければ、重力に従ってすべての小物が底部へ雪崩れ込む、いわゆる“底溜まりのブラックホール現象”が起きる。
片付けの世界的旗手である近藤麻理恵が提唱した「立てて収納する」メソッドは、実はモバイル環境においてこそ真価を発揮する。すべてのアイテムに独立した定位置を与え、上から見下ろした瞬間に一覧できる状態を作ること。さらに、デザイナーの佐藤オオキが手掛けるプロダクトのように、無駄な装飾を削ぎ落とし「機能そのものが自ずと美しい振る舞いを生む」構造美が、最新のバッグインバッグには息づいている。無駄な探り時間をゼロにし、思考の流れを止めないための必然的な進化形がここにある。