国の国語施策を検討する文化審議会国語分科会では、時代の変化に合わせた言葉のあり方が常に議論されている。社会のデジタル化や国際化に伴い、公用文や一般社会における漢字表記の簡素化が進められてきた。
国語分科会の答申に基づく指針では、当用漢字表の時代から一貫して「十分」の使用が推奨されており、表記の共通化が図られている。これは、読者によって受け取り方が変わる曖昧さを排除し、情報伝達の効率を高めるためだ。
もちろん、文学作品や個人のエッセイといった芸術的・主観的な文章において「充分」を用いることが制限されているわけではない。だが、社会的なコミュニケーションや情報発信においては、国が示す基準に準拠することがスマートな大人のマナーとみなされる時代になっている。