くも膜下出血という人生最大の試練を二人三脚で克服した大津美子さんご夫婦でしたが、後年、さらなる悲劇が訪れます。長年連れ添い、自身の命の恩人でもあった最愛の夫との死別です。
闘病生活を支えてくれた大黒柱を失った喪失感は計り知れないものでした。しかし、大津さんを再び立ち上がらせたのは、生前に夫が遺した「美子の歌はみんなを幸せにする」という言葉でした。
「夫が命を繋いでくれたからこそ、今の私がある。残された命の限り、感謝を込めて歌い続けたい」――その強い信念が、彼女を再びマイクの前に向かわせました。代表曲『ここに幸あり』の歌詞に込められた「生きている喜び」は、夫との死別を経て、より一層の深みと説得力を帯びて聴き手の胸に響くこととなりました。