インターネット上や古い飼育書では、今なお「猫の年齢に単純に7を掛ければ人間の年齢になる」という言説が見受けられます。しかし、この計算方法は実態と大きく乖離しています。
もし7倍の計算式を当てはめると、1歳の猫は「7歳の子ども」になってしまいます。しかし実際には、生後1年の猫はすでに性成熟を迎え、繁殖能力を備えた大人の体へと仕上がっています。幼少期の急激な成長曲線と、成猫以降の緩やかな加齢曲線を混同してしまうと、子猫期に必要な高栄養フードの給餌期間を誤ったり、シニア期への移行に伴うケアの開始が遅れたりするリスクを招きます。
また、猫の平均寿命に関しても知っておくべき決定的なファクターが存在します。一般社団法人ペットフード協会などの各種調査データによると、現在の日本の飼育猫における平均寿命は約15〜16歳で推移しています。ただし、この数値には「飼育環境」による明確な格差が存在します。
外出を一切させない「完全室内飼育」の猫の平均寿命が約16.2歳であるのに対し、外に自由に出入りできる環境の猫は約13.5歳と、およそ3年近い寿命の開きが生じています。交通事故や感染症(猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルス)、屋外での激しいナワバリ争いによる怪我が、寿命を大きく縮める直接的原因となっています。
ちなみに、猫のギネス世界記録における最高齢記録として認定されているのは、アメリカ・テキサス州で暮らした「クリーム・パフ(Creme Puff)」という雌猫で、38歳3日(人間換算で約168歳以上)という驚異的な大往生を記録しました。この歴史的事例は、適切な食事、徹底した室内管理、そしてストレスのない穏やかな環境がいかに猫の潜在的な生命力を引き出すかを証明しています。