フィリピン入国管理局の管理下にあったビクータン収容所は、本来であれば容疑者を厳重に隔離・収容する施設である。しかし、内部では多額の賄賂が横行し、スマートフォンやWi-Fiルーターといった通信機器が容易に持ち込まれていた。日本側からの身柄引き渡し要求に対し、現地での虚偽の刑事訴追や裁判を引き延ばす合法工作が画策されるなど、送還までの道のりは難航を極めた。
外交ルートを通じた粘り強い交渉と、現地の法務当局との連携強化によって、ようやく強制送還の決定が下された。日本から派遣された警視庁の捜査員が機内で逮捕状を執行した瞬間、国境を越えた凶悪犯罪に対する一つの区切りが打たれたのだった。