ネット上の掲示板やSNSでは、室内の虫対策として「部屋全体にバルサンやアースレッドを焚けば一発で全滅する」という情報が拡散されがちですが、害虫防除の専門家から見ればこれは危険な誤解です。
くん煙剤や全量噴射型エアゾールは、空間を飛んでいる成虫には有効ですが、畳の内部深くに潜むシバンムシの幼虫や、クローゼットの奥の衣類に包まれたカツオブシムシの卵、さらには湿ったヘドロの中にいるチョウバエの蛹には成分が届きません。それどころか、中途半端な濃度で薬剤を吸わせることで生き残った個体に薬剤耐性がついたり、チャタテムシの天敵である捕食性の昆虫だけが死滅してチャタテムシがリバウンド増殖したりする「誘導多発(リサージェンス)」を引き起こすリスクさえあります。殺虫剤はあくまで「目に見える成虫の緊急駆除」として局所的に使用し、基本は発生源の物理的清掃と環境改善(除湿・密閉)にあるという基本原則を履き違えてはなりません。