この論争の軸組みをさらに複雑にしているのが、党内トップ層の静かな駆け引きだ。政権の浮揚策として「刷新感」を打ち出したい石破茂首相としては、安易な定年緩和に踏み切れば世論の支持率低下を招くリスクが大きい。だが、政権基盤を安定させるためには党内各勢力の意向を無視することもできず、板挟みの状態が続く。
一方、党内老舗勢力の重鎮として君臨する麻生太郎氏らを筆頭とするベテラン勢は、自身の側近や長年の功労者を守るべく、柔軟な特例適用の必要性を暗に示唆してきた。石破茂首相が主導権を握り続けるか、それとも麻生太郎氏らの圧力が実ってルールの形骸化が進むのか。両者の政治的ツバ競り合いが、定年問題をめぐる最大の焦点となっている。