被害者の法的救済と名誉回復を求めて発足した「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の活動において、最も熾烈な交渉が行われてきたのが補償手続きの現場だ。平本淳也氏らを中心に主導された初期の交渉から現在に至るまで、メディアのカメラが入れない密室では、提示される補償額の根拠や被害認定の不透明さをめぐって激しい議論が交わされてきた。
当初、補償業務を引き継いだ株式会社SMILE-UP.側は一律的な救済方針を掲げていたが、被害者が受けた精神的苦痛やその後の人生における機会損失の程度は一人ひとり大きく異なる。関係者の証言によれば、未公表の交渉プロセスにおいては、被害認定委員会による聞き取りの際、トラウマを再燃させるような質問項目が存在したことへの抗議や、金銭補償にとどまらない生涯にわたるメンタルケア体制の確立が強く要求されていた。報じられる表面的な合意数値の裏には、個々の被害者が抱える葛藤と、終わりのない対話の現実が横たわっている。