バンの歩みは、最愛の女性エレインを巡る救済の物語でもありました。「生命の泉を奪いに来た盗賊」と「森を守る聖女」という対立関係から始まった2人は、互いの孤独を埋め合うように惹かれ合いました。エレインの死後、バンは自らの命を顧みず、いかなる対価を払ってでも彼女を生き返らせることを誓い続けます。
メラスキュラの魔力によって怨念の器として一時的に現世へ呼び戻されたエレインは、命の灯火が消えかけていました。そこでバンは、煉獄で体得した「贈与(ギフト)」を用い、自らが持つ「不死身の命の泉の力」をすべてエレインへと譲渡します。自身は普通の命ある人間に戻るリスクを背負いながらも、エレインを正真正銘の完全な肉体で蘇生させた瞬間は、作品屈指の感動的な名場面となりました。
聖戦終結後、晴れて結ばれた2人の間には愛息ランスロットが誕生します。ランスロットは人間と妖精の混血として類まれな才覚を発揮し、続編『黙示録の四騎士』では「湖の騎士」として四騎士のひとりに数えられる最重要人物へと成長。現在、バンは辺境の王国ベンウィックを統べる賢王として国民と家族を守り、息子の自立と冒険を温かく見守る父親としての風格を見せています。