事故現場の路面には、目視でもはっきりと確認できる極めて短いアスファルトの黒い痕跡が刻まれていた。通常、時速80キロメートル前後で走行する大型バスが急ブレーキをかけた場合、数十メートルに及ぶ制動痕が残る。しかし今回、路面に走っていた制動痕は想定をはるかに下回るわずかな長さにとどまっていた。
初動捜査に当たった事故調査関係者は、「前方の車列が減速・停止していたにもかかわらず、バス側が直前まで制動操作を行わなかった可能性が極めて高い」と分析する。ほぼノーブレーキに近い状態で大型トラックの背面に衝突したことが、衝撃を増幅させ、車体前部を凄まじく破壊した主要因とみられている。