ネット上の一部では、「伊瀬茉莉也=キルアやレグのようなハスキー少年ボイスの声優」というパブリックイメージが定着しがちです。しかし、この見方は彼女のキャリア全体のわずか一面を捉えたに過ぎません。
実際の経歴を振り返ると、彼女のブレイクの足がかりとなったのは『Yes! プリキュア5』の春日野うらら(キュアレモネード)という、極めて高音域で愛らしい王道の魔法少女・アイドル役でした。当時まだ10代現役高校生だった彼女は、天真爛漫な高音ボイスとキャラクターソングを見事に歌い上げ、多くの子どもたちとアニメファンを虜にしました。
さらに、『ポケットモンスター XY』のユリーカのような無邪気な幼女役から、『FAIRY TAIL』のレビィ・マクガーデンのような可憐な文学少女、『TIGER & BUNNY』のドラゴンキッド(ホァン・パオリン)のようなボーイッシュな少女まで、彼女の演じるレンジは驚くほど多岐にわたります。少年声で名を馳せた実力派でありながら、根底には「少女の可憐さ」「大人の退廃」「無機質な狂気」までを等しく表現できる基礎設計が存在しているのです。
【プロの結論】キャラクター鑑賞を深めるための視聴アプローチ
伊瀬茉莉也という声優の真髄を味わうためには、単一の作品だけでなく、彼女の「演技の振り幅」を意識して作品を横断鑑賞することが最も適しています。
【おすすめの鑑賞ルート】
まず『HUNTER×HUNTER』のキメラ=アント編または『メイドインアビス』で彼女の魂を削るような少年演技の極致を体感した後、間髪入れずに『チェンソーマン』の姫野、あるいは『Yes! プリキュア5』を鑑賞してみてください。同一人物の声帯から発せられているとは信じがたい音響的落差と、その根底に共通する「キャラクターへの異常なまでの同化力」に気付かされるはずです。