結婚生活や育児という実生活の営みは、彼の本業である演技に何をもたらしたのか。かつての二宮和也は「ガラスのような繊細さ」や「陰のある青年」を演じさせたら右に出る者がいない存在だった。しかし近年、スクリーンに映し出される彼の表情には、これまでになかった凄みと生活の重みが宿っている。
名立たる映画監督たちが彼を重用し続ける理由は明白だ。アイドル特有の浮世離れした華やかさと、ひとりの生活者としてのリアリティ。その両極を自在に行き来できる圧倒的な表現力は、人生の経験値なくしては到達できなかった領域だろう。