なぜ岡山県はこれほどまでに自然災害を免れやすいのでしょうか。その背後には、プレートテクトニクスと地形が生み出した極めて特異な地理的防壁が存在します。
第1の防壁は、北にそびえる中国山地と、南に横たわる四国山地の挟撃構造です。夏から秋にかけて南太平洋から北上してくる台風は、四国山地が盾となって巨大な雨雲の大部分を叩き落とし、勢力を削ぎます。一方、冬の日本海から吹き付ける湿った季節風と雪雲は中国山地が遮断するため、県南部一帯には年間を通じて温暖少雨な瀬戸内海式気候がもたらされます。
第2の理由は、県内を通る活断層の少なさと地盤の強固さです。内陸直下型地震を引き起こす活断層帯の密集度合いを見ると、近畿圏や中部圏に比べて岡山県内は明確な断層空白地帯が広がっています。さらに、吉備高原と呼ばれる内陸部の隆起準平原は、数百万年規模で安定した古生層や花崗岩質の硬質な岩盤で構成されており、地震波の増幅率が極めて低い数値にとどまります。
第3に、津波に対する天然の減衰機構です。南海トラフ巨大地震が発生した際、外海に面した高知県や徳島県、和歌山県には十数メートル規模の大津波が押し寄せる試算となっています。しかし、外海から進入した津波は紀伊水道や豊後水道という狭隘な海峡を通過する過程で大幅にエネルギーを消費し、岡山県沿岸に到達する頃には最大でも2〜3メートル前後にまで減衰します。さらに到達までの猶予時間が数時間あるため、垂直避難の時間を十分に確保できる点も大きなアドバンテージです。