事件の一斉摘発を経て、彼は自らの過酷な体験を綴った書籍『突然、僕は殺人犯にされた』を執筆した。このノンフィクション作品は、単なる被害手記の枠を超え、ネット社会の暗部を抉り出した告発の書として大きな反響を呼んだ。
著書の中で克明に描かれているのは、デマに翻弄される中で味わった強烈な孤立感と、人間不信の葛藤である。見知らぬ人々から理由のない憎悪を向けられる恐怖、そして自身を信じてくれる家族や関係者への申し訳なさ。絶望の底で「命を絶つこと」すら頭をよぎったという切実な記述は、読む者の胸を強く締め付ける。
一方で、この書籍は被害者が具体的にどのように証拠を集め、警察や弁護士とどう交渉すべきかという実用的な知見も提示した。当時としては画期的だった「証拠保存の重要性」を法的な観点から整理し、後続の被害者たちが戦うための道標となったのだ。無実の罪を着せられた男が再起を誓い、ペンを取って問いかけた言葉は、出版から長い年月が経った今なお強い輝きを放っている。